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Vol.2 溶断に技術あり、経験あり

今回は本社工場の高田一(たかた はじめ)さん。
昭和50年入社以来現場一筋の、大ベテランです。

「より精度の高い製品を作っていくまで」生産本部 本社工場 高田一

まずは熔断業務について教えてください。

私のいる本社工場では、特殊鋼を中心に、幅広い材料を熔断しています。簡単に言うと、素材である鋼板からガスバーナーやレーザーなどを使い、図面通りに形を切り出すという仕事です。

現場のお仕事ですから、やはり熟練の技術が必要となるのではないでしょうか。

そうですね、機械を動かして切るだけであれば、入社数ヶ月の社員でもできることです。マニュアルを読んで、図面通りに切ることは、さして経験や技術は必要ないでしょう。ですが、それはあくまで「ただ切るだけ」になります。いろんな材料に対してイメージしたとおりに細部までカットできるようになるのは、やはり技術と経験が必要になってきます。

どういうことでしょうか。

鋼板が薄くなったり、あるいは厚くなったりすると、経験やノウハウが必要になってきます。だいたい12~100ミリの厚さであると、基本の技術があれば十分です。しかし基本の範疇を超えたときに、プラスアルファの経験や技術が必要になってきます。具体的な数値を言いますと、10ミリ以下あるいは200ミリ以上の材料に対して、自分のイメージしたように切れるかどうかですね。

なるほど、そこで職人の技術やノウハウが必要になってくるのですね。

たとえば厚みのある素材だと、カットされた表面積が大きいので、技術の良し悪しがはっきり現われます。200ミリもの厚みのある鉄板を切り、その5分の1の40ミリ程度がうまく切れなかっただけで、それは製品にはなりません。失敗が許されないのです。

ただ、うまく切れたかどうか、確かめながら切るわけにはいきませんよね。

そこがオペレーターの技術の見せ所です。熟練した職人は、いままでの経験から、切断している時の音やガスの色合いなどで判断材料します。たとえば、同じ材料を何回かに分けて切る作業があったとします。1回目セットしてカット、2回目セットしてカット、3回目セットしてカット……この時に、1回目と3回目ではセッティングを変えなければなりません。1回目は常温から切っていきますが、2~3回目ではすでに熱を加わっている状態で、さらにガスを当ててカットします。鉄はご存知のように、温度が加わると熱膨張します。これを考慮しなければひずみや狂いが生じます。ですので、この熱をどのように逃がすか、それを計算しながら切るのが経験のなせる技なんですね。1回目はそれほど難しくなくても、回数を重ねるごとに熔断技術の難度は上がっていくわけです。

いまの技術者の方々は、そのあたりの技術と経験をそなえたエキスパートと言っていいのでしょうか。

そうですね、みな熟練です。ただ、年齢構成として高くなっているのが、逆に気がかりなところでもあります。若手の育成が必要です。

35年という長い期間にわたって、鉄業界を見てこられたわけですが、一番印象に残っているのはどの時期ですか。

業界全体というわけではなく、阪口興産として印象に残っているのは、昭和52~53年にかけてです。この時期に、以前あった堺の工場から現在の大阪市大正区へ移転してきました。工場は新しくなりましたが、敷地面積が縮小されて、それに対応するために現場が苦労した時代でもあります。あの頃は現場の士気も落ちていたので、それを鼓舞するのにも大変でした。いまとなっては思い出話ですね(笑)。

ここ数年、鉄業界は好況を呈してきています。

こんな市況は珍しいと思います。現在も現場は多忙ですが、私としてはこういう忙しさがいつまで続くのかが気になるところです。どのような市況になるにしろ、現場としてより精度の高い製品を作っていくまでだと思っています。

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